□文献調査では、医学論文や、検査の普及に制限を加えた「母体血清マーカー検査に関する見解」(以下「見解」)を出した旧厚生省審議会の議事録、新聞やテレビ等マス・メディアによる報道、研究者による市民の意識調査や論文等を分析検討した。そこでは、母体血清マーカー検査は、商業主義的普及と、中絶の自由である女性の「自己決定権」に焦点が当てられ批判的に語られていることがわかった。
□一方、インタビュー調査では、現在検査を提供している臨床検査会社5社のうち3社を訪問して検査担当者にインタビューを行い、検査推進の論理は、患者である妊婦が自由意思で検査を受検できる妊婦の「自己決定権」の保障であることを確認した。ここに検査提供側と検査受検側の論点のずれを確認し、母体血清マーカー検査のより丁寧な議論の必要性が示唆された。また、検査推進論理の論理的正当性から検査の受検を制限する「見解」の限界や、これまで生命倫理学によって原理として構築されてきた「自己決定権」という「権利」の論理そのものの見直しも必要であることが示唆された。