- 発表2
- 「薬物を使用することからの“回復?”をめぐって――介入側の動向を手がかりに」
- 平井秀幸(東京大学教育学研究科教育学研究員)
- 要旨
報告者はこれまで、薬物使用に対する「介入/処遇」のあり方、すな
わち、人が「薬物を使用している状態」から「薬物を使用していない状
態」へと至る過程における介入のあり方を検討してきた。現代日本にお
いては、そうした使用者に対する介入は極めて多岐に渡り、司法・矯正
セクター、精神医療セクター、福祉セクター、自助グループなど、使用
者は様々な介入実践の対象として設定されている。
種々の「介入/処遇」が目的とするもの、それを仮説的に「回復」と
名づけるとすれば、薬物を使用することからの「回復」はこうした状況
の中で、「薬物を使用しない状態」をゴールとして共有しつつも、その
内実を複層化せざるをえない。
本報告では、(複層化する)「回復」の内実をときほぐすべく、「医
療化」「脱医療化」「犯罪化」「厳罰化」等の社会学カテゴリによる諸
説明をいったん留保し、近年における「介入/処遇」の動向、つまり介
入側の動向を再精査する。そして、次にそこでの「自助グループ」的な
「回復」のあり方――自己による自己への「介入/処遇」のあり方――
が占める位置価を検討し、現代日本の薬物使用に対する「介入/処遇」
がはらんでいる問題性や可能性を考察することを目指す。
報告の時間が許せば、諸外国との比較的視点を盛り込むことも試みた
い。
- 関連業績
- 平井秀幸2005「覚せい剤使用の『犯罪化』・『医療化』論に関する再
検討――『相互作用レベル』における社会的介入に注目して――」『犯
罪社会学研究』30:119-137.
- 平井秀幸2004「『医療化』論再考」『現代社会理論研究』14:252-264.
- なお、博士論文をもとに『薬物使用と「統治性」の社会学――医療化
・ネットワーク・ネオリベラリズム――(仮)』の出版を準備中