• 発表2
    • 村松彰子氏(成城大学大学院:文化人類学)
    • 「『ユタ』の専門性:『オガミ』の場における『ユタ』とクライアントの会話より」
    • 要旨
       本報告では、沖縄の民間巫者である「ユタ」Aとそのクライアントによる宗教的実践「オガミ(拝み)」を事例とし、そこで交わされる両者の会話から「ユタ」の専門性がどのように捉えられているのかについて考察する。
       沖縄では、心身の不調や物事の異変などといった家族や周囲の者に起こるさまざまな問題の解決を目的として、「ユタ」と呼ばれる民間巫者のもとへ相談に訪れることがある(以下では、その相談を「ハンダン」(判断)と呼ぶ)。通常は、「ユタ」が「ハンダン」の場でクライアントの相談を受けて「オガミ」を必要とみなすと、両者の都合にあわせて「オガミ」へ出かけるという手順がとられている。このように、「オガミ」は「ユタ」とクライアントとの祈りの場でもあるが、そこで重視されているのは「オガミ」を行なう場所である。実際、「オガミ」に出かける場所は、クライアントの出自ごと、さらには対処すべき問題や供養の内容にともなってそのつど決められていくが、一日で数箇所から十箇所を巡る場合も多く、そのヴァリエーションは千差万別となっている。
       本報告では、「ユタ」Aがクライアントの先祖供養のために行なった「オガミ」の実践を例に、「オガミ」の場所を特定するときの会話や、「オガミ」の最中に「ユタ」が神様の言葉をクライアントに伝える会話などのやり取りを通して、クライアントが「ユタ」の専門性に対してもつ絶対的な信頼と、その専門的な知のあり方・伝え方の特徴を明らかにする。
    • 関連業績
      • 村松 彰子(2007)「物語化された死者儀礼――沖縄島の『ミーサァ』をめぐる『ユタ』のクライアントの語りから――」『琉球・沖縄研究』創刊号 早稲田大学琉球・沖縄研究所。