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現代医療研究会2の趣旨と活動
趣旨説明
 現代社会に生きる私たちは、概ね医療保健制度や生物医療の知とテクノロジーの影響から逃れ得ないといえます。 だからといって、生活習慣病やメタボリックシンドロームということばの流布、そして臓器移植法、健康増進法、 介護保険制度などの施行といった動きの中で、それらを医療制度の肥大化と人間の生への介入としてのみ捉えるならば、 医療を受ける側の人々を生物医療を鵜呑みにした受動的で無個性的な存在として描き出すことになるでしょう。 そこで、病いや障害とともに生きる人たちの日常生活というローカルな文脈に着目すれば、 試行錯誤しながらも病気や障害と付き合う現実が見えてきます。また、医療制度や医療専門家に対する そうした人たちの働きかけは、既存の価値観や制度に変更を迫るものとなります。

 本研究会では、病いや障害をもちながら生きる人たち、それだけでなく医療を提供する人たちの営みに迫るために 民族誌的研究に着目しています。ただし、生物医療のもつ政治性や現代社会の規範性、消費社会の呪縛性を 射程に入れることの重要性を確認しながら。こうした医療をめぐる現象の多様性・錯綜性・双方向性・動態性を 記述・分析するために、より深くかつシャープな議論が展開されることを目指しています。 したがって、本研究会では、たとえ荒削りな研究であっても、それに独自性や斬新性を見出せるような オリジナリティ溢れる研究報告を期待し、かつ企画しています。

 最近では、テーマやフィールドをより広い視座に置くために、医療・福祉における問題関心を出発点としながら、 生と死、人格と身体、自己と他者、個人と構造、秩序と反秩序、グロバリゼーションとローカリティといった 人文社会科学における問題群に迫るアプローチに挑戦しています。フィールド報告も、 「現代」や「日本」に限定せず、現代・過去・未来という歴史性や海外での調査研究を交えた 比較文化の視点をも射程に入れたものを企画しています。研究会での具体的な報告状況については、 こちらをご覧下さい。

学際性
 研究会には、これまで人類学・社会学・歴史学・生命倫理学・民俗学・宗教学・心理学・看護学・社会福祉の研究者、 そして医師やカウンセラー、作業療法士の専門職者等、多くの分野から集ってきています。

研究会外部への発信状況
現代医療研究会(2000年10月〜2001年6月)
2001年5月 日本民族学会(現:日本文化人類学会)第35回研究大会(神戸大学)にて分科会発表(日本における現代医療:民族誌的アプローチ)
現代医療研究会2(2003年5月〜)
2004年3月 明石書店から論文集『現代医療の民族誌』を刊行
2005年5月 日本文化人類学会第39回研究大会(北海道大学)にて分科会発表(病いと<つながり>の場の民族誌)
2007年3月 明石書店から論文集『病いと<つながり>の場の民族誌』を刊行(先の分科会における報告をさらに展開)
2007年6月 日本文化人類学会第41回研究大会(名古屋大学)にて分科会発表(近代的規範からはみだす身体/自己)
2008年5月 日本文化人類学会第42回研究大会(京都大学)にて分科会発表(「専門性」とは何か?)

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